会社を辞める理由 採用面接で聞いた1800人の退職理由。

私が会社を辞めた理由について、整理しておこうと思ったのですが、その前に、今日は、退職理由からみえるその人の資質。というトピックで書きたいと思います。

採用に関しては、セオリーがありますし、企業によって重視することが違います。私自身も採用に関するたくさんのトレーニングを受けてきました。専門的なことについては、プロフェッショナルな方に委ねたいと思います。

今回は、私自身の退職理由を書く前段として、そして、客観性についての整理のために書きます。

私が会社員だったとき、多くの管理職の採用面接をしてきました。数としては月に5~10名程度、×約20年とすると、1,800人くらいの面接をしたということになります。(すごい数)

どんな人も採用面接を受けるときには、「前の会社を辞める(辞めた)理由」を聞かれると思いますが、私も退職理由について1,800人の人に話を聞いてきました。

退職理由はおおよそ5つに集約されてしまう

応募者が語る退職理由は、物理的、構造的、心理的な理由、などがありました。

  • プライベート(家族や病気など)の事情によって、その会社で継続して勤務することが難しい
  • その会社の制度では、自分がキャリアアップできる仕組みがない
  • 残業、休日出勤、出張が多いなど、ライフワークバランスが取れにくい
  • 人間関係の問題があり、新しい場所でチャレンジしたい
  • キャリアアップのために経験を積みたい

などなど。

1,800人の退職理由にはそれぞれのストーリがあるのですが、おおよそ、上記の5つに集約されてしまうのです。

それなのに退職理由を聞き続けてきた理由

退職する本当の理由は、本来は、採用面接の中の30分とか、1時間では語りつくせないものですし、それを聞いたところで何か、本質的なことがわかるわけではありません。応募者が面接のために準備し、完結に語る退職理由は表層的なものです。 

それなのになぜ、限られた時間の中で退職理由を聞いてきたのか。それは退職理由についてのやり取りから、その人の能力、資質が見えることが多かったからです。

退職理由からその人の資質を見極める質問

応募者が語る退職理由についてお聞きしたうえで、私は「その(退職の理由となる)問題の解決方法が、転職となった理由は何か」という質問をさせていただいていました。

例えば、「その退職の理由となった問題について会社に交渉してみるということはしなかったのですか?」というような感じです。

退職理由は、返答を用意してきているのでスムーズに話す方が多いですが、この追加質問をすると、いくつかの反応パターンがありました。(実際には交渉する、ということを行ったうえで退職のステップを踏んでいる人はほとんどいませんでした。)

質問の答えから見えるその人の資質

「その問題の解決方法がなぜ転職でなくてはならなかったのか。会社に交渉することは考えてみなかったか。」という質問に対しては、いくつかのパターンの反応があります。

この時、質問者の私は少し「セオリーから外れた質問」をしているわけなので、求めている返答は「正答」である必要は全くないのですが、相手に想定外と感じさせることで、本質を見ることができたと思います。

  1. これは想定外の質問が来た、と何とか乗り切ろうとするタイプ
  2. 交渉してみたけれど無理でした。とあっさりと返答するタイプ(多分していないと思われる)
  3. あ。そういう方法もあったのかもしれないけれど、その時は思いつかなかった、と素直に認めるタイプ
  4. え?みたいな感じで、よく意味が分からず、きょとんとしているタイプ

私は、物事の見方を柔軟に変えられる人多角的な視点を持てる人こそが、事業に革新をもたらすと信じてきました。

ビジネスでは常に先の読めない状態があたりまえ。多様な部下をかかえながら、常に革新を求められるManagerには、思考の柔らかさや、切り替えの早さは必須です。

なので、この逆質問や、話の流れの中で、自分の退職理由について、瞬時に主観から客観に切り替えられる能力があるかどうか、だけを見るために退職理由を聞いてきました。具体と抽象の行き来みたいな、頭の使い方といえると思います。

1.の方で流暢に返答される方は、頭が良い方だなと思う一方で本質が見えない、と感じます。

3.の人は客観的な思考能力があるタイプだと思います。それで、もしそういう観点で、今だったら何ができるかを話してもらったりすると、実際に物事にどうやって向き合っていくタイプなのか、具体的なアプトプットをどうやって出す人なのかがわかります。

4.の人には、自分の退職理由を客観に置き換えるサポートをしてみます。「こういう方法も取れたかもしれないですよね。どうでしょう。」とヒントを出したときに、カチっと客観に切り替わる人と、最終的に難しい人に分かれるので、そこでおおよその判断をしていきます。

退職理由の話はおおよそ15分くらいしていたと思うのですが、これを聞けばおおよそその人の思考の習慣がわかりますから、あとはスキルチェックをして、そのポジションにフィットする人材かどうかを見極めていきます。

その方が話したいことをお聞きし、十分に質問してもらえる時間を取って、ほかの採用担当とすり合わせの上、採否を決定していました。

私が重要視していたのはこの思考の柔軟性が主でしたが、これをクリアしてくる人は、なかなかいませんでした。

このトピックを書きたかった理由

今まで幾度となく、応募者の話を聞きながら、この人、前の会社辞めなければよかったのに。と思うことがありました。しかしながら、誰しも自分の退職の決断には、そうであるべき理由があった。と主観的に認識しています。

私自身も、自分の退職については、自分で考えて退職を決めているので、後悔はありません。(そしてもう退職してしまったので前に進むことにもポジティブです。)

ただ今後、自分の退職のことを書こうと思っているので、その前に「客観」という視点を明確にしたかったというのが今回このトピックを書いた理由です。自分のことを客観的見みるために、まず、自分の頭を柔らかくしておくためのプロセスです。

会社には機密があるので、退職に至る諸事情というよりは、自分が会社を辞めることになった心理的なプロセスや、やめることのメリット、デメリットなど、を分析して多面的にフラットに書きたいと思っています。

さて。9月の始まり。今日は早起きしたので眠くなりました。なぜ早起きだったのか、もまた書きたいと思います。

今夜もよい夢をみられますように。

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