ADDressライフ 映画 ノマドランドを観ました。

ノマドランドを観てきました。

映画の冒頭、主人公ファーンが歌を口ずさむシーンで、私は、はっとしてしまいました。それは、私が、北海道や九州で長いドライブに疲れたときに、口ずさんでいる歌と一緒だったからです。

「グリーンスリーブス Green sleeves」とても美しい旋律のイングランドの民謡です。私は日本語の歌詞を忘れてしまったので、旋律を鼻歌で歌いながら、運転しています。

ノマドランドは、とてもいい映画でした。深くて、観る人に、その作品の解釈を委ねるタイプの映画です。

多くの人に予想されていたものの、直近、4月11日に、第74回英国アカデミー賞において、作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、撮影賞(ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ)の最多となる主要4部門で受賞したそうです。

4月26日の米国アカデミー賞の結果も楽しみですね。

→2021年4月26日 ノマドランドは作品賞、クロエ・ジャオは監督賞 フランシス・マクドーマンドは主演女優賞を受賞しました。 

ノマドランドを観ることになったきっかけ

私は基本的には、Happyなアメリカ映画とかドラマが大好きです。ノマドランドは、いい映画だとわかっていても、暗くて重そうで、私自身では観ることを選ばない作品です。

そして、映画館で映画を観ることにも、そんなに熱心なタイプではありません。

でも、私の身近な人が複数、この映画を観た感想を様々に述べていたので、(それがあまりにも違う感想だったので)私も観てみようと思い立ちました。ちょうどレディースデイの日が小雨だったので、これは映画日和。と出かけていきました。

余談になりますが、私は今の自分の生活を村上春樹さんの小説の主人公みたいだ、と思うことがあります。そのことは過去のブログに書きました。

村上春樹さんの小説の主人公は、時に映画館に行って映画を観ます。「ダンス・ダンス・ダンス」という作品では、映画の中で、探し求めていた「キキ」を偶然に見つけます。

私もノマドランドの冒頭で、グリーンスリーブスにはっと、なってしまい、映画への期待度が高まりました。

ノマドランドの映画の感想

映画は、人それぞれ、好きなように観たらいいと思います。ただ、ノマドランドは、複雑な作品なので、単純に主人公に感情移入しようと思うと、あまり共感性が少ないのかもしれないなという印象でした。

この映画を観て、感じたことは、2つありました。

・映画のメッセージ性について

この映画が、何を表現したかったのか、という視点では、その一つとして、アメリカに実在する高齢な漂流労働者の姿をドキュメントするということ。そして、その生活が単にタフであるだけではないことが、併せて表現されています。すなわち、物質的な豊かさに対する疑問、そして、豊か、美しい、幸せ、などの定義を問い直すということを、観る人に委ねるという作品となっていると思います。

・ノマドの生き方

ノマドになった主人公ファーンに対して、「物事の見え方が変わる」とある人が告げます。

物事の見え方が変わる、ということは体感として理解できました。やはり、日々違う景色を見て暮らすということは、決まった家に住み、同じ会社に通う生活とでは、見えるものが全然違うということです。

そして「物事が違って見える」体験は、ノマド的な生活をしたことがある多くの人は共感することができると思うのです。一方で、「違って見える」体験は多くの人に訪れる共通の感覚であるものの、実際に物事がどう見えるか、どのように感じるかは人によって違う、ということも、共感があると思います。

だから、ノマドの民は、時に集い、時に孤独に生きるのだと思います。共感しあえる部分と、とてもインディビジュアルなものの見え方、感じ方があることをお互いに理解し、尊重しあっているように感じます。

私自身は、このファーンのような、タフネスな生活ではないものの、(今、私はものすごく清潔でおしゃれなゲストハウスにいて、文化的な日々を送り、おいしいものをたくさん食べています。)日々違う景色の中で、いろいろな経験、新しい経験をしながら暮らす生活をしています。

そして、この、移動生活で得られる精神的豊かさの大きさに、ただただ、圧倒されながら暮らしています。もう、一つのところにとどまって暮らすことはできないな、とも思ってしまうほどです。

そういう意味で、ノマド的な生き方への共感は大きくありました。

まとめ

ノマドランド、すごくいい映画でした。ちょっとタフネスすぎる、孤独すぎる、と思う人もいるかもしれません。

映画館で自分とは全然違う他者の人生を観ることや、小説を読んだりすることは、いろいろな景色を見ることと、同じなのかもしれない。

かつて、これほどまでに交通機関が発達していなかった時代には、人々はそうやって、違う景色を見たのでしょうね。

「物事の見え方が変わる」をほんの少しだけ体験したい方は、ノマドランドの鑑賞をぜひどうぞ。

今夜もよい夢をみられますように。

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