熱海のMOA美術館で 所蔵 浮世絵展 江戸の華 を観てきました。私は日本画についてあまり詳しくないのですが、先日、静岡蒲原で歌川広重の東海道五十三次の浮世絵 風景版画を観たことで興味がわいて、行ってきました。蒲原に行ったときのブログは↓こちらです。
蒲原の記事
MOA美術館
MOA美術館は、熱海市桃山町、山の上に存在している美術館です。熱海駅からは徒歩20分くらいの近い距離ですが、かなりな急こう配を登らなくてはいけないので、行きはバス、帰りはのんびり歩いて行きました。
バスでのアクセスは、熱海駅バスターミナル8番乗り場よりMOA美術館行きに乗車し、約7分です。
現在はオンラインでチケットを購入できます。(オンラインで購入すると割引がありました。*2021年1がつ)
バスで美術館の入り口について、中に入ると、さらに7基のエスカレーターを登って、(ということはビルの7階分??)やっと展示室の入り口にたどり着けます。
このエスカレーターを登っていく途中で日本最大の万華鏡を観ることができます。
直径約20m、高さ約10mの巨大なドーム型の円形ホールに設置されたこの日本最大の万華鏡は、短時間で様々な色の変化を見せます。
世界最大の万華鏡フェスティバル「ブリュースター・カレイドスコープ・ソサイエティ」において、日本人としてはじめて2年連続グランプリ(2005、2006)を獲得した依田満・百合子夫妻が作成した万華鏡とのことで、壮大です。
7基のエスカレーターを登りきると、海が見える絶景。イギリスの彫刻家ヘンリー・ムアの「王と王妃」という彫刻作品と海とを素晴らしいコントラストで観ることができます。
また施設内においては、お茶室、庭園、能楽堂など様々なみどころがあり、尾形光琳の住居が移築されたものなどを観ることもできます。
美術館は広く、カフェやお蕎麦のお店などが4店舗も入っています。
La Pâtisserie du musée par Toshi Yoroizuka ラ・パティスリー・デュ・ミュゼー・パール・トシ・ヨロイヅカ
があったので、また次回行ったときにはぜひ利用してみたいと思いました。
こちらの美術館は2017年2月に、リニューアルされたそうで、展示スペースの設計は、杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏によって主宰される「新素材研究所」が手がけられたそうです。屋久杉、行者杉、黒漆喰、畳など日本の伝統的な素材を用いつつ、展示される作品の美を最大限に生かす展示空間を創出しているとのことでした。
杉本氏の海景シリーズ「熱海」を観ることもできます。
梅や、紅葉など、季節の花も楽しむことができるようなので、美術展のみならず、半日くらいゆっくり時間を取って、施設全体を楽しむことができます。
所蔵 浮世絵展 江戸の華
今回の多く展示は「肉筆浮世絵」で浮世絵版画とは異なるものです。版画とは異なって、量産できないため、多くは、裕福な身分の人たちのために、特別に制作されたものだそうです。
「美人画」を観ると、「ふうん。昔の美人ってあんまり美人って感じじゃない。」と思います。美人の定義も流行があるんだな。
丸窓九美人図 (鳥文斎栄之)では女師匠と武家の奥方、御殿女中・水茶屋の娘・町家の娘・町家の内儀、花魁(おいらん)・官女・芸者と、九人の身分の異なる美女を髪型や服装で描き分け、さらに九人のもつ生活の雰囲気を細密な描写で表している。とのこと。
丸窓の中に閉じ込められた美女たちは、どんな気持ちでしょうね。時代だけではなく、身分(現代だったらライフスタイル?)の違いによっても美人の定義は違うということです。
私が一番。と思うか。私は私。と思うのか。
この絵は清艶な美しさと気品の高い香気に満ちており、栄之の芸術的手腕が最高に発揮された代表作、と評されていますが、現代を生きている私としてはすこしばかり不愉快な構図です。
絵画の中の女性たちが「私が一番」と競い合うのではなく、話し合って、結束して、画家に仕返ししてね。と思いながら鑑賞しました。
雪月花図(勝川春章)は清少納言、紫式部、小野小町という三大才女を描いたものです。春章の肉筆画の作品は、写実的で技量は第一級とのことなので、多分リアルな美人画になっているということかな。数ある美人画の中ではなるほど。美人。
でも、小野小町を芸者として描いたりして、なんとなく、「斬新な感じ」とか「ウケる感じ」を狙って書かれているような感じがします。
まとめ
ということで所蔵 浮世絵展 江戸の華を観てきました。先述したように、版画浮世絵を観たり、最近は、上野の拠点に泊まった時に鈴本演芸場に行ったり、今までになく「日本っぽいもの」を観る機会が多くなりました。
一度新しいもの見たり、触れたりすると、その後関連書籍を読む機会ができたりして、世界が広がります。日本画、日本美術についても、もう少し知識があったら楽しめるのかなとも思います。(一方で知識がないからこその楽しみ方というのも、美術にはあると思います。)
熱海は近いし、(冬の間暖かいし)企画展もいろいろあるようです。広くて企画展以外にも色々楽しめます。
今度は、La Pâtisserie du musée par Toshi Yoroizuka ラ・パティスリー・デュ・ミュゼー・パール・トシ・ヨロイヅカ
にも行ってみたいし、MOA美術館。また近いうちに訪れてみたいです。
今夜もよい夢を見られますように。
コメント
いつも素敵な旅のお話をありがとうございます。
今回は依田先生の万華鏡の作品に出会えて嬉しかった。
2001年の911、NYのあの事件のときに、ちょうど依田先生のご自宅に伺っていて、
依田先生の初の万華鏡展開催の準備をしておりました。
こんなときは甘いものでも食べるしかないわね、とニュースを見ながら奥様がおっしゃっていたのを思い出しました。
とても美しい作品をつくられる依田ご夫妻様です。
万華鏡展のあと、お客様のご希望で依田先生の万華鏡の作品を納品させていただきました。そのお客様はご病気で亡くなる間際まで、万華鏡だけは楽しみにご覧いただいていたようです。
「ご飯が食べられなくなっても、美しいものはみていられるんだよ」とお言葉をいただけたことが忘れられません。
おかげさまで、時間を旅することができました。
今日もブログを更新していただいて感謝しています。
めーさん。こんにちは。依田先生とお知り合いなのですね! 素敵な作品でした。
「ご飯が食べられなくなっても、美しいものはみていられる」心に響く言葉ですね。