ADDressライフ 無職なのに休暇?よい休暇の定義は 「前向きな現実逃避」

2か月間、無職を休んで働きました。そして同期間、SNSを休みました。

無職なのに休み?「休むこと」について考えました。今日はそのことについて書きたいと思います。

継続は力なり?それとも「休み」がクリエイティビティを向上させる?

私が何かをしよう、またはやめようと思う時に悩むのは、その選択が結果として、どういう効果を生むのかわからないからです。

「継続は力なり」の効果

以前、仕事で新事業に関わっていた時、チームは、様々なバックグラウンドから集まった人で構成されていました。自分たちのチームにとってどんなことが重要で、どんなことが不要なのかというようなバリューを明確にしたくて、365日、毎朝短いメールを送っていました。

多分、2年か、3年くらい、毎朝です。この期間、チームは20名から100名へと成長していったため、日々、新しい人は増えていきました。それもあって、この毎日メールの配信は、チームが同じ方向を向いていくことにすごく効果がありました。

短いとはいえ、毎朝様々なトピックでメールを送り続けることは大変でした。私はこの成功体験から、過去には、どちらかと言えば、「継続は力なり」支持派でした。

伝統工芸とか、料理人とか、スポーツ選手とか、尊敬すべき人たちが、休むことなく毎日続けることで技術を上げ、卓越した成果へとつなげている。そういう世の中の事例も、わたしの「継続は力なり」支持の背景になっていたと思います。

「よい休みがクリエイティビティを向上させる」の効果

私は2020年に会社を辞めて完全な無職となり、1年間を過ごしました。この1年は私にとってかけがえのない時間となり、生まれて初めて、「休むことの有用性」を身をもって体感しました。逆に、忙しく働きすぎることの害についてようやく理解したのでした。

そのことについては、noteに書きました。

忙しい生活と「さよなら」して私が手に入れたもの|Emily
仕事を辞めて、多拠点生活をしています。 仕事を辞めて1年間遊んでみようと始めた多拠点生活は、2021年6月末で1年を迎えました。今は、余白のある人生に満足しています。 忙しかった会社員時代から180度異なる日々へ 会社員時代、私は忙しかった...

継続は力なり、そして、休むことの有用性、その両方を知っている私としては、続けるか、休むか、の選択を悩むことが多くなりました。

「無職」を休もうと思った理由

無職を休もうと思った理由は2つありました。

一つは、「1年間は仕事をしない」という自分で決めていた期限が来たからです。1年休んだら、何かやりたいことが見つかるのではないかという甘い予測は完全に外れてしまい、やりたいことも、先の予定も全く見つからないまま、1年の終わりを迎えていました。

そのとき、オリンピック/パラリンピック関連の仕事の募集を見て、有期で働くのもいいなと思い、採用していただきました。その時点で、無職は2か月間休みとなることが決まりました。

もうひとつの理由は、SNSを休みたかったということです。昨年8月から始めたこのブログ、それ以外に、twitter、Instagram、noteなどを始めて、毎日何らかの投稿をしてきました。ありがたいことに、少なからず読んでくださる方がいて、投稿へのモチベーションになっていました。自分の投稿に関する反応も気になるし、フォローしている人の投稿も気になる。フォロワーを増やしたいような気になって、そういう努力をしたほうがいいのかと考えたり、悩むことが多くなりました。

当時所属していたオンラインサロンでは、kindleでの出版や、SNS上での収益化などを目指している人も多く、私も影響されて、そういう気持ちになったのかもしれません。

自分の書いた文章について、文章力に関する批判的な指摘を受けたということがきっかけとなって、「なぜ自分が書き続けているのか」が明確でない限り、何かあるたびに、自分自身が傷つくだろうということもわかっていました。

オリンピックの仕事もあるから忙しくなるし、一旦、SNSを休もう、見るのもやめよう。再度続けるかどうかはもうわからない!と、「無職の休暇」に入りました。

「無職の休暇期間中」の日々

・久しぶりの仕事

オリンピック/パラリンピックの仕事は思いのほか忙しく、体力的にも大変でした。新たに出会った人たちと新しい人間関係を築くことや、夜勤など、今まで体験したことのない勤務形態にも馴染むのに時間がかかりました。

自分の意思とは関係なく、決められた時間に決められた場所で働く。そういうことは、不自由なことだ(もう二度とやりたくない!)と思う一方で、「楽だな」とも思いました。そんなに何も考えなくても、「やること」ができて、お金ももらえる。変なことではあるけれど、人に「何をしているんですか?」と聞かれたときに、「無職です」というよりは、「オリンピック関連の仕事をしています」と言うほうが、なんとなく、スムーズな感じがあって、それもとても楽でした。

組織で働くということは、楽なのとと同時に、大切な自分の時間を使って、自らを衰えさせているんだ、というような感じもしました。(それはあまり仕事が楽しくなかったから、ということは大きいです)

あらためて思ったことは、意義のあることを、自分の意思を持って、納得して生きる(働こうが、働くまいが)ことが大事なんだということでした。

・SNSを休んでみて

SNSを休んだことで、どこかで、気持ちが軽くなりました。そこで初めて自分がかなり疲れていたんだということもわかりました。SNSを見たいという気持ちにもならなかったので、もうこのままやめてもいいな。と思っていました。

オリンピック/パラリンピックの仕事の最終日は9月9日と決まっていたので、8月中旬ごろまた、「これからどうしよう」と考え始め、なんとなく、そして、恐る恐るtwitterを除いてみました。

そうしたら、私がフォローしている人が、国立近代美術館のボランティアスタッフの募集についてのリツイートをしているのを見ました。それを見て、「目から鱗」というような気持になったのでした。

そうか。SNSでは、自分でたどり着けないような有益な情報をくれる人がいる。そして、自分が情報提供をすると、それに共感してくれる人(そうでないひともいる)がいる。

私にとって書くことは、単なる趣味だ。食べることが好き、歌うことが好き、旅行が好き、それと同じこと。書くことが楽しいだけだ。

私は、自分が書きたいことを書こう。書きたいことを、書きたいように書こう。それをいいと思う人もいるし、そうでない人もいる。ただ、それだけだ。生きることも同じ。自分が生きたいように生きてきたではないか。自分が幸せに生きること。それが一番大事なことだ。同じように、自分が好きなことを好きなように書こう。それが一番大事なことだ。応援してくれる人もいるし、親身になって、アドバイスをくれる人もいる。

そして、9月から、また新たな気持ちで書き始めることができました。

休暇の定義

今まで、私の中では休暇は、「疲れているから休む」というものでした。でも今回、休暇の意味は、そういうことだけではないんだなという結論にたどり着きました。

積極的休養と消極的休養という言葉がありますが、そういうのともちょっと違います。

私の良い休暇の定義は、「前向きな現実逃避」。長い人生をよりよく生きるためには、前向きな現実逃避をする必要がある。現実とちょっと距離を取る。仕事をしている人も、子育てをしている人も、無職の人も、時々、前向きな現実逃避をするとすごくいい!ということです。前向きな現実逃避には、「視点を変える効用」があります。

前向きな現実逃避の効用

・今、ベストだと信じていることは本当か?を問い直す

毎日は連続的です。今、人生に迷いがない人であっても、仕事や子育てや普段のルーティンから、敢えて自分を遠ざける場所(心理的、物理的に)身を置いてみると違うものが見えたりします。

私の場合、あれほどまでに大事だと信じてきた仕事のことも、今となっては、「そんなに大事じゃなかった」「あんなに必死でやる必要はなかったのかも」「ほかにも大事なものはあった」と思っています。

これは仕事から離れてみなければわからなかったことです。

例えば、子育て中の人も、疑うことなくお子さんを愛し、大切に育てているけれど、もしかしたら、自分とお子さんの距離や、優先順位を変えるべき時が来ていることに、ふと気づく。ということがあるかもしれない。

いや、そんなことない。自分はベストな道を選んでいる。と思ってしまう人ほどこそ、そこから離れてみないと見えないものがあるんだと思うんです。

・もちろん、このままでいいのか、悩む人にも

逆に「続けていくことを確信する」「大事なことにあらためて気づく」そういうこともあるかもしれません。

やっぱり続けていこう。やっぱりやめてしまおう。結論が出ることもあるし、出ないこともあるけれど、少なくとも、何らかの変化が起きるはず。その結果は休暇中に起きるかもしれないし、そのずっと後に起きるかもしれない。いつも、必ずしも、良いアイデアやひらめきができるわけではないと思うけれど、脳内に変化を起こすために、時間を取ることが大事なのだと思います。

・走り続けている人は素晴らしい。でも走り続けることで、なんだかおかしな人になる

「どのタイミングで引退すべきか?」私くらいの年齢の人であれば、みんなが考えることかもしれません。

私は思うのです。なんとなく「長」というような立場になってしまうと、いろいろなことが見えなくなる。多くの人が見えなくなるのが怖くて、そのための工夫や努力などをして、「見えていない、わかっていない人」にならないようにしている。

でも実は、世の中にある様々な集団の「長」になる人で、本当に「長」として、世の中に必要とされる人って1%くらいしかいないんじゃないかな。と思います。

なので、わたしは「早く引退」支持派です。

政治家だって、お笑い芸人だって、スポーツ選手だって、会社の管理職だって、みんな「自分は特別、わかってない人じゃない。自分の引き際はわかってる」と認知していると思うのですが、本当に世の中が必要とする人はそんなにはいない。

そのポジションに就いたのだって、真の実力があっての人は1割くらいしかいない。あとは流れとか、運だったんじゃないかのかなと思うんです。

だから、さっさとその席は後進に譲って、また別の道で生きることを選ぶ方がいいんじゃないかなと。潔く別の道へ。仮に会社を辞めたとしても、今までのコネクションを使って、同じような仕事をすることも、なんだか「いい迷惑」な感じがします。

走り続けている人は、そういうことは全然見えなくて、自分は有能な人物であると思いこむ。必要とされていると信じたい。でも99%の人は、周囲から、早くその席をどいてほしいな、と思われているということを早くわかったほうがいい。認めたほうがいい。

別の道を選ぼうとすると、自分には何もない、と思う。今まで「実力以上」のいい思いをしていた魔法が解けて、なんだか寂しいような気持になるかもしれないけれど、それが「リアル」です。でも、そうなってみて初めて自分の別のいいところが見える。

「長」じゃなくて「個」として自分を磨いていく。それがかっこいい。ありもしない「虚像の自分」にしがみついているのはかっこ悪い。そして幸せじゃない。私はそう思うのです。

走り続けていると、リアルが見えない。リアルが見えないと、ほかのオプションも正しく見えない。リアルを受け入れ、よりよい良いオプションを選択するためにも、「前向きな現実逃避」の時間が必要なんだと思います。

To Find Better Optionsのための時間が 前向きな現実逃避

より幸せになるために、「ほかのオプション」がほんの少しでも見えることが大事です。「いや、そんなことは夢のまた夢」と考えたり、「いや、無理だ。現実的ではない」と思うようなことを頭の中で思い描いてみる。逆に現実的なちょっとした改善、ちょっとだけ変えてみようかなとか、こんな小さいチャレンジならできるかなとか、幅広く、ほかのオプションを考えます。

始めることを考えることもできるし、やっぱり私にはこれは向いていないな、長年やってきたけれど、もう十分、頑張ったからやめてもいいな、とか「やめること、続けないこと」を考え始めるとか、そういう時間を取ることはいいのかもしれない。

それには、やっぱり、現在身を置いているところからいったん遠く離れて、物事を見ることが大事なのです。

もちろん、後ろ向きな現実逃避も必要

私は過去に、つらすぎる現実から、後ろ向きな現実逃避をしたことがあります。他の人から見れば「ちょっとした出来事」だったのですが、私は大きくストレスを感じて、会社に行くことができなくなってしまいました。今まで、「ストレス知らずの強い私」が自慢だったので、この時は、なんだか落とし穴に落ちたような、不思議な気持ちでした。

半年くらい休んだのと、その後十分回復するには何年かかかりましたが、今振り返ると、この時の休みは私にとって人生を考えるきっかけともなり、良かったことだったと今は思えます。

そして、つらくて耐えられないと思うことがあるのであれば、そこからは逃げたほうがいい。人それぞれ、耐性は違う。他の人が大丈夫だって、自分は大丈夫じゃないことがある。

この時のことを振り返り、私はそれまで、前向きな現実逃避の時間を取らずに、走り続けていたことが良くなかったのだ、と気づきます。

後ろ向きな現実逃避を避けるためにも、前向きな現実逃避が必要なんだ、という結論に至りました。

まとめ

今日は良い休暇の定義、「前向きな現実逃避」について書きました。

無職を2か月間休んで、そのあとは、また前向きな現実逃避をしに、沖縄に2週間行ってきました。そういう意味では多拠点生活は、いい人生を送るためにすごくいい方法だなと思います。

疲れたから休む、のではなくて、幸せになるために休む。長い人生を生きるためのTIPS。それが私が見つけた答えです。

今夜もよい夢を見られますように。

コメント

  1. こんにちは!
    この素敵な文章を批判する人がいるなんて!びっくりです。
    今久しぶりの旅で列車に乗っています。動くことができる喜び、ひとりで楽しいことを計画できる楽しさ、旅の途中で読むブログ。すべてに感謝です。

    • ついにめーさんも旅に出られたんですね。よかった。いい季節。楽しんでください!

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